3月の宝塚文化研究会では「宝塚歌劇とローマ帝国」をテーマに、理事の薮下哲司先生を講師に迎え、宝塚歌劇で古代ローマを舞台にした作品の研究を行いました。資料とした作品は、1986年に花組で上演された「真紅なる海の祈りをーアントニーとクレオパトラ(柴田侑宏脚本・演出)」と、2006年に月組で上演された「暁のローマ(木村信司脚本、演出)」です。ジュリアス・シーザーの死後、シーザーの腹心だったアントニーに焦点を当てるのか、シーザー暗殺に主導的な役割を果たしたブルータスに焦点を当てるのかによって、ローマ帝国成立に至る時代の見え方や解釈が大きく違うことがわかりました。古代ローマ時代のお話は登場人物の名前が複雑でわかりにくいのですが、二つの作品を比較研究したことで、難しく感じられるローマ帝国を舞台とした物語が理解しやすくなりました。

4月には宝塚歌劇団花組公演「アウグストゥスー尊厳ある者」が上演されます。今回の研究会によって、作品への理解が深まるのではないかと思います。アウグストゥスはシーザーの甥で後に養子になるオクタヴィアヌスの別名だそうですが、今回研究したアントニーやブルータスがどのように描かれているのか、どんなお話になるのか楽しみです。

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