4月5日(金)に2回目の観劇会を実施しました。この日は13時公演の観劇前に、薮下先生の作品解説講演会を実施しました。今回の月組公演は、トップコンビのサヨナラ公演+110期生の初舞台公演ということで、話題満載!質問コーナーもいつものように盛り上がり、観劇前の楽しい時間となりました。

お芝居の「Eternal Voice」は、正塚先生の久しぶりの大劇場公演オリジナル作品です。エトワールには正塚先生ファンの会員さんが多いのですが、今回の作品はイギリスのヴィクトリア朝の時代背景を予備知識として持っていないと、お話がちょっと分かりにくかったかも・・という声もありました。

そんな中、宝塚観劇歴が長いイギリス文学の研究者の会員の方から今回の作品は、1987年に麻路さきさん主演でバウホールで上演された「グリーン・スリーブス」という作品に関連した部分があるのでは・・という指摘があり、薮下先生が「グリーン・スリーブス」の貴重なパンフレットを持参して、当時の作品について解説してくださいました!興味深い指摘をしてくださった会員の方は、彩みちるちゃん演じる霊媒師のエギゼルと、彩海せら君演じる弟の呪術師のマクシマスの苗字が「バビントン」である、ということを二人おセリフからキャッチして「グリーン・スリーブスとの関連に気が付いたそうです。また、この姉弟のセリフの中に「アンソニーの恨みを晴らす・・」というような言葉もあったことから、二人は「グリーン・スリーブス」の主人公アンソニー・バビントンの末裔なのでは・・と思い至ったとのこと。

1987年に上演された「グリーン・スリーブス」は、メアリー・スチュワートの時代にタイムスリップする少女が主人公のお話で、メアリーを助けようとして失敗するアンソニー・バビントンという人物が主役だったとのこと。この会員さんはイギリス児童文学を研究されているため「時の旅人」という児童文学が原作になっている宝塚作品の「グリーン・スリーブス」に関心を持ったそうです。

今回、エギゼルとマキシマスの姉弟は、霊媒師や呪術師としてのエキセントリックなパフォーマンスが目立っていましたが、その行動の背景には先祖への想いがベースに合ったのかも・・と思うと心に響くものがあります。

また、海乃美月さん演じるヒロインのアデーラは、処刑前のメアリー・スチュワートに最後まで付き添っていた侍女のアンの末裔だったということが最後にわかり、先祖の時代からメアリー・スチュワートとの繋がりが深かったために首飾りがアデーラを呼び寄せたこともわかりました。

主人公とヒロインの二人がスピリチュアルな能力を持っていたり、霊媒師や呪術師が登場したり・・・と、ちょっと変わった作品(宝塚では最近この種のモチーフが多いようにも思われますが・・)ですが、背景になったイギリスの歴史上のエピソードや、宝塚で上演された過去の作品との関連など、深く掘り下げると作品鑑賞がさらに楽しくなるのでは…と思いました。

また、この日、薮下先生は、星組の暁千星さん主演の「夜明けの光芒」の原作のチャールズ・ディケンズの作品「大いなる遺産」が剣幸さん主演で1990年に月組で上演された時のパンフレットと、風間柚乃さん主演の「BLAFF」が1990年に久世星佳さん主演で上演された時のパンフレットも持ってきてくださいました。時間が限られていたため、この2作品の詳しい作品解説会はまたあらためて後日に・・・。

エトワールでは観劇+作品研究の講演会も実施しているので、会員の皆様にはさらに深く作品を楽しんでいただけるのでは・・と思います!

上演作品を楽しむために、観劇会だけではなく、作品研究会も増やしていきたいと思っています。

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