3月29日(金)に日本マンガ学会少女マンガ誌部会とオフィス・エトワールの共催による研究会ー「ベルサイユのばら 50年を振り返る」を、宝塚市立男女共同参画センター・エルで実施しました。

東京からマンガ学会会員の研究者にもご参加いただき、宝塚ファン+少女マンガファンによる熱気あふれる研究会となりました。

まず、映画・演劇評論家の薮下哲司先生から、宝塚歌劇の「ベルサイユのばら」の初演時のファンの反応や、その後の再演時のエピソードなど、興味深いお話をしていただきました。当時、週刊少女マーガレットに連載された「ベルサイユのばら」の主人公のオスカル様が当時の小中学生の少女たちに熱狂的に愛されていたために、宝塚で「ベルばら」を上演するにあたり、「8等身のオスカル様を生身の人間ができるはずがない」と、激しい抵抗もあったようですが、舞台が上演されると、大勢の少女たちが宝塚大劇場に押し寄せて、大変な社会現象になり、初代オスカルを演じた榛名由利さんが入り出の時に恐怖を感じるほどファンが殺到したとのこと!チケット購入のために徹夜で並ぶファンが大勢いたり、立ち見客が800人も押し寄せたり・・と、今の宝塚歌劇の熱心なファン活動を上回る凄い勢いのファンの行動が新聞でも多く取り上げられたそうです。低迷していた宝塚歌劇が「ベルサイユのばら」の上演によって、一気に人気を盛り返したというのは有名な話ですが、当時の新聞記事等の配布資料を見て、想像をはるかに超える当時の宝塚歌劇の「ベルサイユのばら」の人気にあらためて驚きました。

少女マンガ研究者の増田のぞみ先生からは、当時、少女マンガの作品は一部のファン以外の世間からはほとんど注目されず、新聞や報道などにも取り上げられることがなかったことや、「ベルサイユのばら」が宝塚で上演されたことをきっかけに、新聞等の報道によって「ベルサイユのばら」が社会現象化したことで、これまで世間に認知されていなかった「少女マンガ」というジャンルの文化に注目が集まったこと、その後、フランス語版「ベルサイユのばら」での実写版の映画化やにしきのあきらさん(?!)出演による舞台化、ベルばら関連商品の販売等、熱狂的なベルばらブームが発生したことは、「ベルばら」が少女マンガの原作に留らず、宝塚歌劇で上演されたことによる社会現象に起因するものではないか、という指摘がありました。また、宝塚歌劇の「ベルサイユのばら」と少女マンガの「ベルサイユのばら」は、双方が成功につながる相乗的な効果があったのではないか、という分析もありました。増田先生の報告から、少女マンガ界の発展にとっても、宝塚歌劇の起死回生にとっても、「ベルサイユのばら」という作品が双方に及ぼした影響が大きいということがわかりました!

そして最後に、研究会に参加してくださったエトワールの会員の皆様に、当時の週刊マーガレットの読者としての感想や、初演時の「ベルばら」を見たときの感想やエピソードなどを披露していただき、「ベルばらブーム」の背景について、社会学的な分析資料となる証言?の数々を提供していただくことができました!

この7月に、宝塚大劇場で「ベルサイユのばらーフェルゼン編」が上演されます。今回の研究会では、薮下先生や増田先生から興味深いお話や分析をお聞きすることができ、7月の観劇会がますます楽しみになってきました。
配役予想も楽しみです。今回のベルばらのオスカルとアンドレの配役は・・??

研究会の中で、薮下先生から、これまで「ベルばら」は宝塚で何度も再演されてきたけれども、全く同じ脚本と演出で上演された作品はないという説明がありました。「○○編」と同じタイトルが付いていても、新しい歌があったり、場面が変わっていたり・・と必ずどこかの部分で新しく改編されているそうです。これまで気が付きませんでしたが、確かにそうだったかも・・・。今回の「フェルゼン編」がこれまでのフェルゼン編とどのように変わっているのでしょうか??配役とともに作品の内容にも興味深々です。

今回お聞きできなかった「ベルサイユのばら」に関するエピソードがまだまだ沢山あるようなので、またぜひ続編の研究会も実施したいと思っています!

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